夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
ロイス様は社長職をやる傍ら、大の馬好きで馬主…。
つまり、自分でレースに走る競走馬を所有している。
馬主関係者以外入る事の出来ない、この特別観覧席に俺が入れるのもロイス様のお陰という事だ。
特別観覧席は馬が走る馬場が見渡せる建物の最上階にある為、とてもレースが見やすい特等席。
「……あ。
しかし、今日はマオ君とは敵同士だったな。
…で?うちの馬に勝てそうな馬はいたかな?」
隣同士の席に腰をかけると、ロイス様はニッと笑いながら俺に尋ねてきた。
今日のメインレース。
正直、普通に考えたらロイス様の持ち馬”キサラギ”に敵う馬はいない。
キサラギはこのレースを迎えるまでに5連勝していて、状態も万全だ。
人気もダントツの1番人気で、この競馬場とも相性がいい。
……けど、俺は知ってる。
競馬に、全ての勝負に”絶対”はない事。