僕に、恋してみたら?
「お姉ちゃんのは、すごくフサフサだし」
「あぁこれ、まつエク」
――!?
「なにそれっ」
「まつげにエクステつけてるの」
エクステって、髪にするやつみたいな、つけ毛で伸ばしたり増やしたりするやつ?
「そんなことできるの?」
「あんたは必要ないよ。お母さんには内緒ね」
「え、うん」
お姉ちゃんが、わたしの知らない世界にいる気がした。
どんどん離れていっている。
それともわたしが、いつまでも変わらなさすぎているだけなのだろうか。
「できたー! 鏡みておいで」
「うん」
そのあと鏡の前にたったわたしは、さっきまでの自分とは別人のように見えた。
まだまだ中学生……いや、小学生みたいだったわたしが、ほんの少し時間をかけるだけで、こんなに変われるものなのかと驚いた。
見える。すっかり、高校生だよ。
やばい。お洒落って……、楽しいかも。