僕に、恋してみたら?


「なんか、空、暗くなってきたね」

「たしかに……こりゃ、ひと降りくるかもな」

と柳くんがいったとほぼ同時に、頬になにか冷たいものがぶつかる。


「……雨だっ」


やってきました、ゲリラ豪雨。

大粒の雨がぼとぼとと音をたてて降り始める。


「か、帰ろっか」

「ずぶ濡れになんぞ」


そんなことを言っている間に、雨が激しくなってきた。

どうしよう。

ショッピングモールに戻ろうか?


「……来い」

「へ?」

「いいから」

「う、うん」


柳くんが自転車を押しながら歩いていく。

わたしは、柳くんをうしろから駆け足で追う。

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