僕に、恋してみたら?



「……?」

「あんたに会いに、わざわざ教室まで先輩がやってきたのは、それだけあんたに会いたかったってこと」


――!


「来る者拒まず、去る者追わず。それが水上先輩っていわれてる。なのに、先輩の方から追いかけるなんて、前代未聞なんだよ」

「…………」

「だから――今回の先輩が女の子との縁切っていってる噂が、茉帆と無関係だとは思えないんだよね」


そんなことをいわれても。

わたしは知っているから。

先輩の心の中にいるのは、今も昔も、お姉ちゃんだって。


「茉帆のこと見つけてくれた。声をかけて、笑って手を振ってくれたよね?」

「!」

「あんな先輩、わたしは見たことないし、聞いたことない。茉帆のこと可愛いと思ってるのは間違いないって」

「ユカリ……」

「それが後輩としてなのか、女としてなのか……あたしにはわかんないよ? でも、あんたは先輩の特別な存在なんじゃないかな」

それは……わたしがお姉ちゃんの妹だから。

だから、変わらない態度でいてくれているんじゃないかな。

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