僕に、恋してみたら?


 *


それからは、文字通り、流れるように時間が過ぎて。

学祭本番まで残すところ3日となった今日。

準備もリハーサルも済んだ。


わたしは、なんとか台詞を覚えた。

白ウサギが柳くん、猫がサナというのもあって、一緒に稽古をするのがとても楽しかった。


放課後は、部活の方の出し物の準備に顔を出したり、友達のクラスに手伝いにいったりと、余裕ムードでいた。

順調すぎるくらい順調だった。


そんなとき――予期せぬことが、起きた。



「ない」

アキナが、昼休みの教室で慌てている。

「どしたのー?」サナがパンにかじりつきながら、その様子を眺める。

「家で少し手直ししてきた衣装、最終チェックしようと思って持ってきたんだけど……」

顔面蒼白な、アキナ。

「どこに入れてたの?」

「紙袋。白っぽい……ラメの入った」

「そういえば、朝は机にかけてたよね」
ユカリが思い出したように答える。

「いつなくなったんだろ……中身、アリスのドレスなのに。ないと困るよ」

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