僕に、恋してみたら?
その様子を見ていた男子も手伝ってくれ、教室の隅々まで確認したが、衣装は見当たらない。
「なんでぇ?」焦るアキナ。
「今日、化学の授業あったよね。そのとき持ち歩いてたとかは?」
サナが、アキナをなんとか落ち着かせようとしている。
「それはない」
「そうだね。衣装持ち歩いたりしてなかったよね」
冷静に答えるユカリ。
「わたし……探してくる」
「え、茉帆、ご飯は?」とサナ。
「先に、食べてて」
わたしは、一目散に教室を飛び出した。
そんなわたしを横目でみて笑っていた少女を――ユカリは見逃さなかった。