僕に、恋してみたら?
嫌な予感。
それは、3時間目の移動教室のとき。
忘れものをしたわたしは、ユカリたちに先に行ってと伝え、ひとり教室に戻った。
すると、もうすっかりひとけのなくなった教室に、女子が1人だけいた。
その子は、窓際に立って外を眺めていた。
なにを見ているかわからなかったけれど、景色でも眺めているのだろうと深くは考えずにいた。
わたしは実験に使う記録用紙を鞄から取り出し手にとった。
そのとき、窓際にいたその子が振り返った。
そして……不敵な笑みを浮かべたんだ。
ゾクッとしたのを覚えている。
今思い出しても、薄気味悪い。
もしあの子が、遠くを眺めていなかったとしたら。
地上を見下ろしていたとしたら。
そこになにかがあったとしたら――。