僕に、恋してみたら?
先輩と教室に戻れば注目を浴び、落ち着いて話ができないだろう。
そう思ったわたしは、メールでアキナを屋上まで呼び出した――。
「どうしたのー? 1人で屋上までこいなん……て……」
話している途中で先輩に気づき、言葉を失うアキナ。
「……ちょ、えぇ……水上先輩っ?」
動揺をかくせない様子だ。
「先輩、この子は山内アキナさんです」
「山内さんね。こんにちは。僕は、水上」
あ。名字、覚えない主義ってわけじゃなかったんだ。
「し、知ってますよ!」
どうして自分のが紹介されているわからず驚いている。
「山内さんに、お願いしたいことがあって」
「な……なんですか?」
目を輝かせるアキナ。
そりゃまぁ、水上先輩にお願いがあるなんて言われたら、なんでもきいてあげたくもなる。
「でも、その前に、見てもらいたいものがあって」
「見てもらいたいもの?」
「君の作ってくれた衣装、破れちゃったんだ」
「……はい?」