僕に、恋してみたら?


先輩と教室に戻れば注目を浴び、落ち着いて話ができないだろう。

そう思ったわたしは、メールでアキナを屋上まで呼び出した――。


「どうしたのー? 1人で屋上までこいなん……て……」
話している途中で先輩に気づき、言葉を失うアキナ。

「……ちょ、えぇ……水上先輩っ?」
動揺をかくせない様子だ。

「先輩、この子は山内アキナさんです」

「山内さんね。こんにちは。僕は、水上」


あ。名字、覚えない主義ってわけじゃなかったんだ。


「し、知ってますよ!」
どうして自分のが紹介されているわからず驚いている。

「山内さんに、お願いしたいことがあって」

「な……なんですか?」
目を輝かせるアキナ。


そりゃまぁ、水上先輩にお願いがあるなんて言われたら、なんでもきいてあげたくもなる。


「でも、その前に、見てもらいたいものがあって」

「見てもらいたいもの?」

「君の作ってくれた衣装、破れちゃったんだ」

「……はい?」

< 204 / 288 >

この作品をシェア

pagetop