僕に、恋してみたら?
「頼りにしてる!」
とびきりの笑顔を見せてくれる、アキナ。
「……許せない」
思わず、犯人に対しての気持ちが声に出た。
「そりゃあ……あたしも、あんな風にした犯人には腹が立つよ。あれは、あたし個人のものでなくなくてクラスみんなのものじゃん?」
「……うん」
「マジで狂ってるよね。なんの恨みがあって、誰があんなことしたのかな」
わたしには、犯人に心当たりがある。おそらくそれは、当たっていると思う。
でも、せっかく前向きになれたアキナにそれをいえば—―クラスメイトが犯人かもしれないと告げれば、余計にクラスのムードは悪くなる。
今は……黙っておくべきなのだろうか。
わからない。
「あの衣装を作るのにかけた労力や時間を考えても、無駄になった気がしてムカつく」
大変だっだろう。他にしなきゃならないこと、したいことがあったのに、時間をさいて作ってくれたんだよね。
「でも、あたし、楽しかったんだ。あの服作って、ますますその道を目指したいと思えた」
そういうアキナの顔は、輝いていた。