僕に、恋してみたら?


「なにやってんの? やめなよ」

「だって、こいつが……!」

凄い剣幕で、相手を見るユカリにギョッとするアキナ。

「綾瀬さんが……どうかしたの?」


――綾瀬 望実(あやせ のぞみ)


うちのクラスの、副委員長だ。

耳の横で黒髪を2つくくりにしていて、眼鏡をかけた、真面目系女子。

とても喧嘩騒動を起こすような生徒には見えない。だから余計にみんな驚いている。


ただ、わたしには、心当たりがありすぎた。


なぜなら、あのとき――3時間目の移動教室のとき。

1人だけ教室に残り、窓際で不敵な笑みを浮かべていたのは――綾瀬望実だったから。

< 209 / 288 >

この作品をシェア

pagetop