僕に、恋してみたら?
「……別に」
感じの悪い返事を聞いたユカリが、「はぁ?」と拳に再び力を入れると、
「やめとけ」柳くんがすかさず止めに入る。
「俺も疑問だ。綾瀬は、積極的に放課後残って準備進めてくれていたよな」
と、柳くん。
「…………」綾瀬さんは、何も答えない。
「わたしのせい?」綾瀬さんに近づく。
綾瀬さんは、じっと黙ったまま、わたしを見つめる。
「わたしを最初に主演にすすめたのは、たしか、綾瀬さんだったよね」
「…………」
「……そう、なんだよね?」
「うん」
教室内に、緊迫した空気が流れる。
隣のクラスはいつも通りの昼休みを過ごしているので、ざわめきが聞こえてくる。
「どうして? わたしが主演に向いてると思ってすすめてくれたの?」
「……そうだよ」
「そう……だったんだ。ありがとう。わたし、綾瀬さんのおかげで、色々と考え方を変えられた」
「!」
「それで、衣装をめちゃくちゃにしたのは、綾瀬さんなの?」