僕に、恋してみたら?


――!!


「茉帆ちゃん」

「はい……」

「抱きしめていい?」

「いいも……なにも……」


――もう、

抱きしめているじゃないですかっ……。


「苦しいです」

「無防備すぎるよ」

「……柳くんにも、言われました」

「もう、そんな危ないことしないで」

「危ないことって……柳くんは、友達ですよ」


一度キスされたものの、それからは、そんなことしてこない。

もうあんなこと、するとは思えない。


「茉帆ちゃんて、ほんと、放っておけない子だね」

「え……」

「『本気になっちゃダメ』なんて言ってごめん」

「…………」

「ほんとは、そんなこと思ってなかった。友達としてなんて見れない。僕に、夢中になってほしかった」

「言われなくても……わたしは、先輩に夢中ですから」


いったそばから、身体が熱くなる。


「キスしていい?」

「な、なんで聞くんですか……?」

「ちゃんと許可とるって約束したから」


にんまり笑って、わたしを見下ろす先輩。


「……っ、わたしには、もう許可とらなくていいです」

「そう?」

「そのかわり……わたしにだけして下さい」

「言われなくても、そのつもりだよ」


< 236 / 288 >

この作品をシェア

pagetop