僕に、恋してみたら?


「ねぇ、茉帆ちゃん」

「はいっ!?」

「こんなところ……じゃなければ、いいの?」


――!!!


「さっきのは、そういう意味だよね?」


そんな、揚げ足をとるみたいな言い方。


「先輩は、やっぱり……イジワルです……」

「好きな子にはイジワルしたくなるものでしょ?」

「……っ、小学生ですか!」


弱気に見えた先輩が。

急に強気になった。


「でもまぁ、まだいいか」

「へ?」

「ちょっとずつで」

「……!!」


なにが〝ちょっとずつ〟ですか!?

今、先輩は、どんなことを考えていますか……?


わからない。

さっきまで遠く感じていた先輩が、こんなにも、近くにいて。

優しく笑ったと思ったら、今度は意地悪に笑う。

そんな先輩が、なにを考えているかということは、わたしにはまだ理解できない。


先輩には、わたしの知らない一面が、まだまだありそうだ。

だから、もっともっと、知りたい。


「それじゃ、帰ろうか」

「……はいっ」


公園を出て、先輩と、家に向かって歩き始める。

頭の中で、確認する。

先輩とわたしは――両想い。


信じられない。

夢、みたい……。


「先輩……」

「ん?」

「わたし、どこが一生懸命なんですか?」

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