僕に、恋してみたら?


「送ってくれて、ありがとうございました」

「また明日」


わたしの家の前で、挨拶をかわす。

離れるのが、名残惜しい。

誰かとバイバイをするのが、こんなにも寂しいなんて思ったことがない。

明日になれば、学校で会えるのに。


「明日の朝、迎えにくるから」

「え……そ、そんなの、悪いですよ」

「お願い。朝一番に茉帆ちゃんに会えたら、一日頑張れるんだ」


ずるいです。

そんなこと言われたら……、


「よ、よろしくお願いします」


受けるしかないじゃないですか。

やばい。

嬉しすぎてこのまま飛んでいきそう。


「茉帆」


――!


……よ、呼び捨てですか!?

不意打ちすぎます。


「好きだよ」


そういうと、背を向けて歩き始める。


水上先輩……、あなたって人は。


わかれる間際まで、どうしてそんなに、わたしをドキドキさせてくれるんですか。

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