僕に、恋してみたら?


「桃惟!」


大きな声で、叫んだ。

そんなに大声を出さなくても、まだ声は届く距離なのに。


「わたしも……好き!!」


やわらかい笑顔を浮かべた桃惟は、

「悪いけど、僕の方が好き」


そんな甘い台詞で、わたしを一層、ドキドキさせてくれるのだった。




〝僕に恋してみたら?〟


――言われなくても。


〝僕が、ドキドキさせてあげる〟


――こっちの台詞だ。


今はまだ、わたしより桃惟の方が一枚も二枚もうわてだ。

でも、負けないよ。


わたしが、桃惟のこと――ドキドキさせてあげる。

たくさんの、愛をあげる。


覚悟しててね?


大好きなヒト。

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