僕に、恋してみたら?
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『――以上をもちまして、1年A組の公演〝アリス〟を終演いたします』
カーテンコールのあとに流れたアナウンス。
およそ、40分後。
わたしたちの劇が、幕を下ろした。
「お疲れ様ぁあ!!」
「最後、めちゃくちゃ拍手もらえたね」
「頑張ったもんねぇ!」
出演者同士はもちろん、今日まで劇を作り上げてきたメンバーたちと、舞台袖でハグしあう。
感極まって泣き出す子まで。
ユカリなんかボロ泣きして、サナとハグしてる。
そんな光景をみていると、わたしの涙腺も緩む。
主に裏方の男子が中心となって、大道具を控室まで片付け始める。
ここでステージはお昼休憩を挟むので、午後の部のプログラムが始まるまでには時間的に余裕があるのだが。
「どうする? 着替え取りに、わたしたちも控え室戻る?」
「えぇ! まだ着てたいなー」
名残惜しそうにそういうのは、サナ。
紫のネコ耳にシッポ、それから、可愛いらしさの中にセクシーさもあるタイトだけど部分的にふわっと仕上げられた衣装を着ている。
頬には、髭が描かれている。猫だけに。
いつも以上に濃いめのメイク。
つり目風にアイライン(目元をふちどるメイク道具のことらしい。教えてもらった)で強調されている。
「みんなで写真撮りたいなぁー!」
「いいね。とろとろ!」