僕に、恋してみたら?


「なら、まずは着替えよ」

「えっ?」

「今は1番混む頃だからね。炎天下の中でそんな格好して並んだら倒れちゃうよ」

「たしかに……それがいいね」


なんだか名残惜しいな。アリス姿、もうちょっと桃惟に見せていたかった。

かといって、いつまでも着ていては桃惟のいう通り熱中症にでもなりかねない。


「茉帆の控室どこ?」

「1年A組。わたし達の教室だよ」

そこに、劇で使ったものはもちろん、鞄や制服も置いてある。


「そっか。3階は、基本的に使われてないもんね。僕らは教室をギャラリーにしてるから、教室にあるものは講義室5に持っていってる」


講義室5は、わたしの教室の目と鼻の先にある教室だ。


「それじゃ、着替え終わったあとの待ち合わせは……」

わたしがそこに行けばいいかな?


「先に行って待ってるから。荷物、持っておいでよ」

「……へ?」

「それ、一人で着替えるの大変そうだし。手伝ってあげる」


そういえば、そうだった。

背中のファスナーに……手が届かなかったっけ。


教室から制服と鞄を手に取ると、桃惟の待つ講義室5に向かった。

講義室には、桃惟しかいない。


「ねぇ、クラスの人は……?」

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