僕に、恋してみたら?
ブラウスのボタンに手をかけ、上からはずしていた――そのとき。
「ハッ……クシュン!!」
誰かがクシャミした。
……人がいたのか。
そのことに驚いて、女は、屋上から去った。
ちょうどいい。
あんまり、ヤル気でなかったし。
クシャミしたのは、子供みたいな女の子だった。
1年生だ。
「あーあ。いいところだったのに」
「責任とってもらおうかな」
「決まってるじゃん。あの子がしようとしてたこと、代わりに君がしてよ」
君をフェンスにおさえつけたとき、そんなこと、微塵も思っていなかった。
僕の興味は、さっきキスをしていたあの女から、僕に迫られて小動物みたいに小刻みに震える君へと途端にうつったんだ。
怖がらせたくなった。
なんにも知らなさそうな君を、僕色に染めてみたくなった。
まさか、蹴りを入れられそうになるとは思わなかったし。
キスしようとして拒絶されるとも思わなかった。
「あんなこと学校でしてる方が悪いです!」
「たしかに」
僕は納得した。
でもそれ、震えながらいう台詞?
なにこの子。
面白い。