僕に、恋してみたら?


いきなり名前で呼ばれたのと、突拍子もないお願いをされたのとであっけにとられていると、まだ手をつけていないお弁当を奪われる。

代わりに先輩のお弁当を渡されてしまった。


わお。

唐揚げ、キャベツ、ひじき煮……どれもとっても美味しそうだ。

って、見とれている場合じゃなくて。


「せっかく先輩のお母さんが作ったものを、わたしがいただくわけには……」

「平気だよ? それ、僕が作ったから」


――!??


「えぇっ!?……これ、先輩お手製のお弁当なんですか?」

「うん。一生懸命、茉帆ちゃんのために作ったんだ」


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