僕に、恋してみたら?


「最っ低……!!!」

女の先輩が、水上先輩の腕を離す。

「もう、桃惟くんなんて知らない!」

走り去る後ろ姿を見向きもせずに、

「僕は君のこと、最初から知らないけどねー」
呑気にあくびなんてしながら、そんなことをいう水上先輩。


先輩って人は……。

前言撤回。

この人は、正真正銘の女たらしです。

甘いマスクで女の子を惑わし、キスしたあとは知らんぷりなんて、どうかと思いますよ?


女の先輩の姿が見えなくなると、

「茉帆ちゃん最高」

――そういって、頭を撫でられた。


え? なにがですか?


そのまま、髪をくしゃっとされる。

やめてください先輩、これでも、朝から寝癖をなおしてブラッシングしてきているんですよ。

そんなことを気にもせずに、わたしの髪を好き勝手乱す。


「もう……触らないで下さいっ」

「可愛いなー、茉帆ちゃんは」

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