僕に、恋してみたら?



 *


「解せぬ……!!」


その夜。

リビングで大胸筋エクササイズをしながら、そんなことをいうわたしに、

「なにがあったか知らないけど、あんたの方が理解不能よ」とツッコミを入れるお姉ちゃん。

「わたしが?」

「そうだよ。そんなにバストアップしたい意味がわからない」

「…………」

「あればあるで、大変よ? 肩はこるし、大きくなれば可愛いブラもないし」


いやいや、お姉ちゃん。ブラというものを必要としないわたしからすれば、それは贅沢すぎる悩みだよ。

なんなら、胸をわけてよ。2カップほど。

そうすればわたしは、明日からスキップして学校に行くし、こういうことも喜んでやめるから。


「それに……」

「それに?」

「……別に。とにかく、良いことなんてないよ?」


なんだか急に機嫌の悪くなるお姉ちゃん。

なにかあったのかな……。

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