僕に、恋してみたら?


「どうかしたの?」

「別にって言ってるでしょ!」
ペットボトルのふたをあけて、勢いよく炭酸飲料を飲む。良い飲みっぷりだ。

ムキになっているあたり、怪しい。なにかあったのには違いないだろうが——意地っぱりなお姉ちゃんのことだ。

理由を聞いても、そう簡単には教えてくれないだろう。


ここは一つ、話題を変えてみよう。


「そうだ、お姉ちゃん。3年に水上先輩っているでしょ?」


お姉ちゃんは、同じ高校の3年だ。

つまり、水上先輩の同級生にあたる。


「……いるけど。それが?」

ご機嫌ななめは継続中だ。

「同じクラスだったりする?」

「……1年の時だけね」


なんと。わたしと水上先輩に、こんな接点があったなんて。

だったら、1年の頃の先輩のこと、よく知ってるんだよね。


〝知りたい〟という気持ちが、溢れてくる。

こんなにも好奇心を煽られたこと、1度だってあったかな。


「ねぇ、水上先輩って、どんな人?」

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