僕に、恋してみたら?


お姉ちゃんは昔、先輩と、なにかあったの?


気になるのに、どういうわけか……声が出ない。


怖いのかも……しれない。

ハッキリと、お姉ちゃんの口から真実を聞くのが。

お姉ちゃんの言うとおり、あのキスは事故みたいなものだっていうなら、そうであって欲しい。

こんなのは、わたしの身勝手なお願いにすぎないけれど。


「ほんと、誰これかまわず容赦ないんだから、あの人」


他人行儀なのは、感情を、隠したいから……?


「お姉ちゃん、授業は?」
腕時計を見ると、本来ならまだ授業を受けている時間帯だ。

「あー、いいのいいの。茉帆のことが心配だから、そばにいさせて」

「お姉ちゃん……迷惑かけて、ごめんなさい」

「なにいってんの? ほらあたし、今日アレだから。体育だるいなって思ってたんだよねぇ。だから、ほんと気にしないでよ」

いつも以上に明るくふるまってみせるお姉ちゃん。

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