僕に、恋してみたら?


1分もしないうちに――お姉ちゃんの足音が消えたかと思うと、病室のドアがあいた。

だれ……?


「茉歩ちゃん」

「水上先輩……」


先輩が、どうしてここに?

制服姿で病室に入ってきた。手には、鞄を持っている。


「目が覚めたんだね」

「夢、みてるのかな」

「夢?」

「わたしが、先輩のことばかり考えているから……」

「へぇ。茉歩ちゃん、ぼくのことばかり考えているんだ?」


先輩が、近づいてくる。

一歩そばに寄られるたび、ドクンと胸が跳ねる。

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