僕に、恋してみたら?
それからのことは、あまりよく覚えていない。
先輩が病室から出て行って間もなく、お姉ちゃんが戻ってきて。
しばらくするとお医者さんから帰っていいと言われ、一緒にタクシーで帰った。
水上先輩は、お姉ちゃんと……付き合っていた。
水上先輩は、今でも、お姉ちゃんのことが……好き。
お姉ちゃんは……?
今、先輩のこと、どう思っているの?
嫌いなフリしているだけで、本当は、好きなんじゃないの?
そんな疑問の数々が、頭の中をぐるぐるまわった。
身体に受けたダメージよりずっと
胸の方が痛むなんて……
こんな日がくるなんて、思いもしなかった。
こんな風になるなら、いっそ、出会いたくなかった――そんな、どうしようもないことを考えてしまう。
それは、引返せないくらいに、わたしが先輩のことを好きだというあらわれなのだと思う。
その夜、わたしは眠りにつくことができなかった。