僕に、恋してみたら?


それから数日。

毎日のように、柳くんが話しかけてきた。

移動教室も、下校も、柳くんに誘われることが増えた。

帰る方角が同じなんだと思ったら、どうやらそういうわけでもなく、送ってくれているのだということに気づいた。


「ごめんね。遠回りしなくていいよ」というわたしに「結城さんと話すの楽しいから」なんて言ってくれる柳くん。

話すことといえば柳くんの友達の話だったり、最近見た映画ネタだったり。柳くんはお話上手でちっとも退屈しなくて、わたしの話になると途端に聞き上手になる。

そのコミュ力の高さは、見習いたいものだ。


そんなある日。


「ねぇ、結城さん」
「柳くんと付き合ってんの?」


……女子トイレで、クラスメイトから、質問された。


「友達だよ」

「友達がそんなに一緒にいるかな?」
「ほんとは付き合ってるんじゃない?」


なんですか、この、誘導尋問は。


面倒くさい。

ほんと女の子って……、面倒くさいよ。



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