僕に、恋してみたら?
その日の昼休み。
わたしは、屋上へ向かった。
自然と足が向かっていたのだ。
行けば、思い出してしまうのに……あの人のことを。
ここで、ほんの僅かな時間だけれど、一緒に過ごしたことを。
「……一人で食べるお弁当って、こんなに寂しかったっけ」
ここ数日、食欲もなければ、しっかり睡眠もとれていない。
先輩とお姉ちゃんのキス現場を目撃してしまったあの日からずっと。
お弁当を一口食べて、ふたを閉じずにそっと地面に置いた。
仰向けに寝転がって、空をみつめてみる。
見事な入道雲。
「心の中が……いっそ、空っぽになればいいのに」