僕に、恋してみたら?
「やだっ……」
「俺のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ……」
「だったら、いいじゃん」
よくない。いいわけない!
柳くんのこと、せっかく、好きになったのに。
友達として、一緒にいたいと思えたのに。
こんなことされちゃ……
もう、そんな風に思えないよ……。
「キスは……こんなに簡単にするものじゃないでしょ?」
柳くんから、顔を背ける。
「でも、茉帆の好きな水上先輩はしてるよ」
「!!」
「いろんな女の子に、簡単に」
「……っ、それは……」
なにも反論できない。柳くんの言う通りだ。
わたしの好きな人は、女の子と、簡単に——キスをしてしまう。
「俺は、茉帆にしかしない」
「……水上先輩は、しなかった」
「え?」
「嫌がるわたしには、キス、しなかった」
「!」
「一度迫られて拒否してからは、一切そんなことしてこなかった。先輩とわたしは、柳くんが思ってるような関係じゃない」
「…………」
「お願い。離して」