僕に、恋してみたら?
キス……、されたの?
わけが……わからない……。
わたしも、何人かいる遊び相手の、そのうちの1人になったということですか。
「茉帆ちゃん」
唇が離れる。
「先輩……」
「目、閉じて」
「…………」
繰り返し、応えてしまう。
先輩の……キスに。
こんなのは、正当なキスじゃないのに。
恋人とする、お互いに想いの入ったものじゃないのに。
柳くんとするキスと、変わらないはずなのに。
どうして……。
こんなにも優しくて、あたたかくて、泣きそうになるの?
このときわたしは、先輩からのキスを、ただ受け入れることしかできなかった。
受け入れずには、いられなかったんだ――。