僕に、恋してみたら?


お姉ちゃんのプライベートを詮索するつもりはないけれど、それが先輩とのことだから、知りたくなる。

知りたいのに、聞けない。


「わたし、着替えてくるね」

「ゆっくりでいいよ。まだお店あいてないし、あんたの部屋、掃除中でしょ」

「……じゃあ、顔洗ってくる」


買い物やクレープなんて、口実だろう。

このあと、お姉ちゃんは、わたしに何か伝えたいんだと思う。

だったら、わたしはそれを聞くべきだと……そう思った。


避けつづけることができるとも思えない。

お姉ちゃんとこのまま気まずいのは嫌だ。

だから今日、わたしは、お姉ちゃんとクレープを食べに行く。


「そうだ、茉帆」

「ん?」

「顔洗ったら、あたしの部屋おいで」

「……?」




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