海の底に眠る祖国







私は一体、前世でどんな罪を犯したのだろう。

JPNと書かれた国旗色のバッジをつけた日本の少女はぼんやりとそう思っていた。

金田志乃。
19歳。

はからずも下馬評No. 1のルーク・アッセルと同い年。
彼女はフィールドの中に入った今でも現実を受け止められないでいた。


「ごめんなさい、志乃。本当にごめんなさい。現実にこんなことが実行されるなんて思っていなかったの」


土下座しながらそう謝ってきた人を思い出す。

育ててくれた父と母。
志乃は養子で、彼らとは血は繋がっていなかった。

物心ついた頃にはそのことは伝えられており、それでも父と母は愛してくれていたから、別段不満ではなかった。
というか、本当の父と母を知りたいと思うのは彼らに対する裏切りではないかと考えていたのだ。








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