海の底に眠る祖国
北京
『ハーイ!ボーイズ、アンドガールズ!ご機嫌はどうだい?』
正円の空間。
壁沿いに椅子が置かれており、それぞれに名前が印字してある。
参加者全員が座った瞬間、ハイテンションなその声は聞こえてきた。
志乃は突然の声に肩をびくりと震わせる。
ちなみに放送された声は英語だ。
一応インターナショナルスクールに通っていたから聞き取れたが。
今思えば、志乃が近所の学校に行かなかったのもこの大戦を見越してのことだったのだろう。
一体いつからこの代表型世界大戦は計画されていたのか。
『君たちが付けているバッジ。それには君たちの指紋が登録してある。早速、指を当ててみてごらん』
声に言われるままに志乃はバッジに指を当てる。
周りの人たちも警戒しながらも言われた通りにする。
改めて見ると、皆各国の代表だけあってがっしりとした身体つきをしている。
志乃は普通なはずの自分の身体が貧相に思えた。
一応、中高と卓球部で運動はしていたのだけれど。
ここにいる彼らから見ればモヤシも同然なのだろう。