海の底に眠る祖国
呼吸が落ち着いてきたところで、ようやく顔を上げられた。
「ありがとう」
サンキューベリマッチ、と言った気もするが、ティッシュと水を渡され慌てて汚れた部分を流す。
彼は志乃の英語にも醜態にもノーコメントだった。
「行くぞ」
それだけ言って、ルークは歩き出す。
ふらつく足を奮い立たせ、志乃は後を追いかける。
こんなところでへこたれてる場合じゃない。
生き延びよう。
あんな勝手な父親に人生狂わされて命尽きるなんて嫌だし。
ルークの後について進めば、道はロード君の残骸だらけだった。
たまに人だったものもあったが、もう見ないようにした。
ルークの「ウェイト」と「カム」にただ従って進むだけ。
日課のように軽くロード君を破壊して進むルーク。
その強さは、圧倒的だった。