海の底に眠る祖国





他国の人たちは、志乃を見つけると迷わず銃口を向けてくる。
いいカモみっけ、5ポイントもらったぜ、と言いたげな顔をして。
しかし、そばにルークがいることに気付くやいなや、サッと逃げていく。

おかげて志乃は道中殺されることもケガすることもなかった。

敵であるロード君と他の国の人たちをルークが追い払ってくれたおかげだ。

もうルーク様と呼ばせていただこう。
この人なんで私のそばにいてくれるんだろう。


「来い。あそこがゴールだ」


そう言って、あっさりとゴールまで辿り着いてしまったのだ。
志乃は何もしていないのに。
他の人は必死で戦っていたのに、私はルークのおこぼれにあずかる形で、これでいいのだろうか。

「カム」とそれまでと同じように言って、ルークは進んだ。
彼がゴールする。

ルークのすがたが扉の向こうにいき、見えなくなった。
志乃は、彼の後に続くのを一瞬ためらった。
ためらって、しまった。

それがいけなかったのだろう。

次の瞬間、後ろから鋭い声をかけられた。








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