海の底に眠る祖国






「別に止めなくても良かっただろ、ネロ。ルークと敵対してロシアと中国が倒れてくれれば俺たちの独壇場なのに」

「ロシアはともかく中国に恩を売っておいて悪いことはねぇよ」


やぁ、ヤン。と、ネロという名前らしき男がニヤニヤと少年を見つめる。

中国の少年は唾を吐いただけでなにも言い返さなかった。
するとネロは今度は志乃に興味を向けてきた。


「どうやらオランダの王子様は君のことがお気に入りらしいな。国のためにもここは一発、ルークに取り入っとくべきだぞ、日本人」

「え、はぁ?」


気に入られたのか。
だから助けてくれた、のか?

いまいち分かってない志乃に、今度はネロの隣にいたブロンドの男がつっかかってきた。


「あんたじゃ自力でポイント獲得は無理だから、ルークのおこぼれをもらえって言ってるんだよ」

「ポイントもらうって、なんで?」

「なんでって、そりゃ、ポイント取らなきゃあんたの国が勝てないからだよ」


不審そうにそう言う男。




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