海の底に眠る祖国
「日本代表、金田志乃」
真っ白い建物。
その建物からウィーンという音とともに光線が出て、少女の身体をチェックする。
人間の手に余るほどに発達した科学技術を集結させたその建物の前に一人の少女が立ったとき、その様子をモニターで見ていた人たちはざわついた。
Kaneda Shinoと書かれたネームをつけた彼女。
フワフワと癖のある黒髪。
黒い目。
子供のようなあどけない顔。
そこに立っていたのは、パーカーにスカートという普通の格好をした、普通の少女だった。
『さすがはラッキー老国だ!まさか銃も扱えなさそうな平々凡々な女の子をたった一人で寄越すとは、日本は勝負を捨てたと見た!奴らは負けたら強国の交渉カードとしていいように使われるってことが分かってるのかぁ!?』