ガード
「どうぞ。これ、使って下さい。僕は迎えの車が来ますから。」

・・・迎えの車とは何だ。

「本当に大丈夫です。雨が止んだら出ていきますし、いつお返し出来るかもわからないのに。」

しかもその傘は、幼いころ私がよくブルーベリーと読み間違えていたあの高級ブランド、バーバリーのものだったのだ。

「しかもこんな高価な傘、貸していただくわけにはいかないです・・・」

消え入るような声で私が言うと、彼はまた、「そうですか。」とほほ笑み、傘をカバンの中にしまった。

そのカバンもアルマーニである。

***

彼と話しているうちに次第に雨も止み、空は綺麗な夜空に仕上がっていった。

「お気遣いありがとうございました。」

私はお礼だけ言って、親切な彼から立ち去ることにしたのであった。



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