ガード
先ほどまでの好印象が全部消え去った。

上から目線で言われたせいか、この男のすべてが気に食わない。

「あなたには関係ないことじゃないですか。失礼します。」

あっさりと言い放って再び走りだした私だが、今度は男の声が追いかけてきた。

「乗りますか?家まで送ります。」

まさに前代未聞。

「あなた男性ですよね?」

しまった。この質問はバカすぎるか。

すると男はくすっと笑ってまた言った。

「男性ですよ?でも大丈夫です。送り狼とかじゃないですし。」

その保証がどこにあるんだと聞きたいところだが、今は黙っておく。

「いや・・・でも・・・。」

押し問答をしているうちに、ドアが開いた。

「どうぞ。」

渋りながらも中に入る。

いや、入らざるをえなかったと言った方が、正しいだろうか。

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