ガード
先ほどのヴィトンよりも、水浦家ではエルメスのほうがよく行く店であるらしい。

ここでもドレス、スーツを一気買いするのだろう、私は見ておくだけにしようと余裕をかましていると、どうやらそんな悠長なことを考えている場合ではなかったのである。

「山田様、二階堂様、では寸法を図らせて頂きますのでこちらへ。」

「はい。」

「はい?!」

落ち着いてそういったあずさもいれば、私のように納得のいかない人物もいる。

急いで翔に問いただすと、どうやらこういうわけだそうだ。

「ああ、オーダーメイドにしたんだ。」

あっさりという翔だが、ここまでくると私はもうパニックだ。

「ねえ、もう勘弁して。私、出世払いできなくなるじゃん。」」

「大丈夫、元から払ってもらおうなんて思ってないから。」


会話が成り立っていない。
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