ガード
***

「オープンカーで寝るやつ、俺、初めて見たわ。」

あずさの声が遠くから聞こえる。

車が停止したということは、水浦邸に到着したということだろうか。

そうやらそのようだ。

「この状態の華、どうする?完全に爆睡してるぞ。」

翔の声も聞こえるが、私をどうしようというのだろう。

「俺が部屋まで運ぶよ。」

あずさがぽつりと言った。

「いや、それはだめだ。俺が運ぶ。」

今度は翔だ。

「いいって。俺が運んどくからお前は本邸に戻れ。」

あずさは小声で、しかしはっきりと言った。

***

2人が話しているうちに、段々目が覚めてきてしまったようだ。

急に体がふわりと宙に浮く。


< 60 / 77 >

この作品をシェア

pagetop