好きな人を誘拐してみた。
スタスタと部屋を出ていく朱子さん。

あっさりといなくなる。

僕の元からもこんな風にあっさりと

いなくなってしまうんだろうか。

そう思うと怖くてたまらなくなった。

「あ、メモ…?」

お弁当にメモが挟まってる。

“お仕事お疲れ様です。

次期社長さんだったんですねぇ。

藤堂グループの偉い人ってことは
知ってましたけどまさかそんなに
偉い人だとは思わなかったですよ。

ちなみに今日の夜ご飯はカレーです!”

確かに。

僕は藤堂グループの社長になることは

伝えてなかった。

伝えられなかった。

遠い人だと思われて

逃げられると思ったから。
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