好きな人を誘拐してみた。
「はぁ、」

た、ため息。

「私は龍聖さんの
好きな食べ物が知りたい
嫌いな食べ物が知りたい
好きな芸能人を知りたい
高校時代のことを知りたい
中学時代のことも知りたい
家族のことも知りたい
────好きな人を知りたい。」

キャパオーバーだ。

「ねぇ、朱子さん?
僕の話聞いてくれる?」

「もちろんです。
むしろ早く話してください。」

意を決して見た朱子さんの顔は

すごく優しくて僕の大好きな笑顔だった。

だから話してしまおうと思った。

朱子さんが分かってくれるか

どうかは分からないけど

朱子さんならきっと拒絶はしないはず。
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