好きな人を誘拐してみた。
「一目惚れしたんです。
敵会社の受付嬢の方に。」

あの日、ふわって笑う

あなたの笑顔に時間が

止まった気がしました。

「私のこと?」

「はい。
話しかけたこともない。
ましては僕のことなんて記憶にもない。」

「ごめんなさい。」

「いえ…。
ある夜に見かけました。
僕が後ろをついて行ってるのに
あなたは気づかない。」

「鈍感ですみませんでしたね。」

「なんか悔しくて
あなたがほかの人のものになるのが
怖くて、寂しくて。」

あの時の感情はぶっちゃけ

僕もよく覚えていないんです。

ただ、こんなことをしてしまうのは

朱子さん相手だけですからね?

「だから誘拐してしまいました。
すみませんでした。」
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