不釣合い。
『お二人はそれまであまり面識はなかったのですか?』

私は自発的に質問をした。

『いやいや、大有りだよ。ねっ明美さん』

『そうそう。』

私は頭の中がはてなになった。

『実は俺明美さんと浮気してたんだ。ずっと好きだったのに俺の事弄んで』

『だって、てっちゃんが仕事仕事で私に構ってくれないから、つい寂しくて。タカは若くてスタイルよくて顔もいいからつい出来心で。でも、てっちゃんが好きなの』

2人は真剣な表情で言った。

私はとんでもない地雷を踏んでしまったのかもしれない。

『俺は哲さんも好きだし。明美さんも好きだし。すごく悩んだんだ。』

『タカにはあの時は本当に申し訳なか、、、、ぶっ!もう無理!ごめん桜〜嘘だから〜!!』

『へっ?』

私は急に力が抜けた。

『もう明美さんもっと演技してくださいよ〜。桜ちゃん信じかけてましたよ』

長谷川さんが残念そうに言う。

『桜私はタカとは何もないからね!騙してごめんね』

木村さんが手を合わせて謝ってきた。

『よ、よかったですー。私まずい質問をしちゃったかと思いました』

私はホッとした。

『ほら、タカがそっちの方向に話持っていくから〜』

『明美さんもまんざらじゃなかったでしょ?』

もう少しで2人に騙されるとこだった。

『もともとは私がタカの教育係だったんだよ』

『そうそう、俺超怒られてばっかりだった』

『だって書類のミスは多い、入力も遅い、問題児だったんだから。タカ10人で桜の1人分だよ。』

『もう明美さん超怖かったんだから。何回泣かされたことか』

『私の方が泣いてわよ!この問題児どうしようって。でも、顔がいいでしょ?他の女子社員からはチヤホヤされるわけよ。私一人怒って』

『褒めていただきありがとうございます。そんな毎日怒ってる後輩にいちゃいちゃしてるところ見られたら顔面蒼白なるよねー』

長谷川さんは笑いながら言った。

『あの時は本当にびっくりした。よりによってこいつかー!って』

木村さんは呆れたように言った。

『でも、営業課に異動してタカが仕事できる男になってた時は嬉しかったな』

木村さんが笑顔で言った。

『大丈夫!俺はずっと明美さんの手の届く距離にいるよ。一緒に寝た事もあるし』

『タカ!そんな言い方したらまた桜が混乱するでしょ。てっちゃんの家で3人で飲んだ時泊まって寝ただけでしょ!』

『はいはいその通りでございます』

長谷川さんが残念そうに言う。

長谷川さんの出来ない男時代の話もいろいろ聞けて楽しかった。
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