不釣合い。
疲れた。緊張でどっと疲れた。

私はドスっと椅子に座った。

木村さんが声かけてきた。

『桜〜お疲れ様。大丈夫だった?』

『なんとか大丈夫と思います』

『ありがとね。お昼まだでしょ?みんなが帰って来たら行こう』

『はい行きます』

『その紙袋営業課にもらったの?』

『はい。あとで一緒に食べませんか?』

『ありがとう。中ちゃんとみた?』

そこには悪い笑みを浮かべた木村さんがいた。

私は質問の意味がわからなかった。

紙袋の中を見ると。

お菓子が大量と封筒が入っていた。

その封筒を手に取ると

付箋で【桜ちゃんへ 。1人で開けてね。長谷川】と書いてあった。

『私は見ない〜。見終わったらまた呼んでね〜。』

木村さんはニヤニヤしながら自分のデスクに戻って言った。

私はおそるおそる封筒を開けた。

そこには一枚の名刺とメモが入っていた。

長谷川さんの名刺だ。

名刺の裏には電話番号とメールアドレスが書かれていた。

メモには【気が向いたら連絡してね】と一言添えられていた。

パッと顔を上げると木村さんがこっちを見ながらニヤニヤしている。

私は恥ずかしくなって急いで顔を下げた。

私は名刺とメモを慌ててポケットに入れた。

『さ、く、ら、みんな帰って来たからお昼行こ』

木村さんがすり寄って来た。

『課長!山口さんとお昼行って来まーす』

『ごゆっくりー。あっ山口君さっきそこで営業課長と会って山口君にお礼を伝えてくれと。営業課長からお礼を言われて私も鼻が高いよ。』

『あ、ありがとうございます。次も頑張ります』

私はさっきの名刺の件でそれどころではなかった。

『桜お弁当?屋上行く?』

木村さんが聞いてきた。

『私もそう思っていました』

私は木村さんとお弁当を持って屋上へと上がって行った。
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