お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*


「みっくん」



呼びかけた私に、驚いたように目を見開いたみっくん。



「は?なんでこんなとこに……」



バーベキューも終わり、午後からの行程も終わり、夕日が綺麗に照る夕刻。



既に服に着替えた私は、男子更衣室の前でみっくんを待ち伏せしていた。




「これ……返しに来たよ」



目的は一つ。

みっくんに借りていたパーカーを返すこと。



「そ」



と、素っ気ない返事を返したみっくんは、私からパーカーを受け取った。



「じゃ、」



そのまま、立ち去ろうとしたみっくん。


グイッ


思わずシャツの裾を引っ張って引き留めてしまった。



「……何?」



特に用があったわけじゃない。


思わず掴んでしまっただけで………

……あ、でも、言いそびれたことを言えるチャンスかもしれない。




「みっくん、ありがとう」




そう言うと、きょとん、とした様子のみっくん。


ぜったい何のことかわかってないよね。




「パーカー、貸してくれてありがとう。それから、ピーマンも食べてくれてありがとうね」



「ああ……別に」





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