お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
そんな俺に気づいたのか、気づかなかったのか、
「ありがとう、……24日、楽しみにしてるねっ」
ふわりと花のような微笑みを残して、藤宮は少し離れたところで待っていたらしい友達の元へ駆けていった。
『ありがとう』…か…。
たしかに、俺がその言葉を女に掛けられる回数は少なくはないと思う。
たしかに、女には優しいかもしれない。
だけど。
『みっくん、私、わたあめとりんご飴食べたいっ!……あ、でもベビーカステラも外せないな〜』
─────だけど、俺には、どうしたって優しくできないヤツが一人だけいる。