お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
ふざけたように敬礼をキメてきたひまりをスルーして、先を歩く。
どうせ後から来るだろ。
『……いつもの場所、か』
祭りの喧騒からは少し離れた、小さな神社の石段の真ん中。
ふたり座って、花火を見るのに丁度いい。
そのことに気づいたのはいつだったか。
いつからか、“いつもの場所” になっていた。
………そしてどうやら、俺たちは、主語がなくても会話できるほどには一緒に居すぎてしまったようだ。
『はぁっ……もー早いよみっくん!』
息を切らしながら、駆けてきた幼なじみに無言で座るよう促した。
─────ドォン
ひまりが座ったとほぼ同時に、最初の花火が空に咲いた。