お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
弾ける火花をしばらく無言で眺める。
いつもはうるさいひまりも黙っていて。
クライマックスに近づいて、どんどん派手になってきたころに、ようやくひまりが口を開いた。
『みっくん、私ね、みっくんと同じ高校に行く!!』
『は?』
唐突すぎた宣言に、面食らった。
『だから、私、みっくんと同じ高校に行くって言ってるのーっ』
意味不明。
理解不能。
俺の頭を駆け巡るのはそんな四文字で。
『……近所の女子高に行くとか言ってなかった?』
ついこの前、制服が可愛いとかなんとか騒いでたじゃん。
『それは、やめにしたの!』
きっぱりと否定する幼なじみに目眩がしそうになった。
こいつ………わかってんの?
いや、別にひまりのことを馬鹿呼ばわりしているわけではないけど。
たしか成績は中の上くらいで、平均より少し上かその辺りだったはずだ。
対して、俺が目指しているのは割と偏差値の高い公立高校。
俺でさえ部活を引退してからは、かなり気合いを入れて勉強をしているんだから、ひまりがそこを狙うのは正直キケンだと思う。