お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


『……なんでまた、いきなり……』


いつもは、ふわふわ地に足がつかない生活をしているくせに、いきなり突拍子もないことを言い出して飛び出していくから。


本当にちゃんと考えてるか、いちいち気にかけるのはこっちの仕事で。



頭を抱えたくなりながら、理由を求めた。




『だって、みっくんと離れたくないんだもん』




ためらいもなく、言ってのける幼なじみ。



打ち上がったのは、最後の大きな花火。




『みっくんがだーいすきっ』




甘ったるい言葉に、眉をひそめた。



………こいつの “好き” なんて聞き飽きた。


他の女子と、こいつの “好き” は全然違う。




幼い頃から隙あらば、“好き” なんて言い続けてきたこいつの “好き” はもはや挨拶も同然で。


家族のような、そんな、“好き” なわけで。



そこには、どれだけ掘り下げても、他の女子のような浮ついた感情はない。



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